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3D造形部門

金属3Dプリンターでここまでできる!ネジ形状の完全造形に成功

金属3Dプリンターでネジ造形を実現

-SLM方式金属3Dプリンティングの応用-

はじめに

金属3Dプリンターの中でも、SLM方式は、高精度な金属部品を造形できる技術として幅広い分野で注目されています。
SLM方式では、金属粉末を薄い層に敷き、その上から高出力レーザーを照射して選択的に溶融・凝固させ、層を積み重ねることで複雑な形状の部品を一体成形します。

ただし、金属3Dプリンターには造形上の制約もあります。特に、45度以下のオーバーハング(水平に近い角度の形状)を造形する場合、金属粉末が十分に支えられず、形状の崩れや精度低下が生じるため、サポート材の設置が必要です。このため、ネジ形状のように急な角度や微細なディテールを持つ部分は、設計段階で角度や形状を工夫することで、サポート材を減らし、造形品質を向上させる取り組みが行われています。

このように、SLM方式は自由度の高い設計を可能にする一方で、造形特性に合わせた最適なデータ設計が重要です。

金属3Dプリンター造形ネジの完成度を検証

従来のネジ形状は、金属3Dプリンター(特にSLM方式)では造形が困難です。
その理由は、一般的なネジ山の角度が急であり、造形中に金属粉末を支えるサポートが適切に配置できないため、造形不良や精度低下が発生しやすい点にあります。
今回の試作では、ネジ山の角度を45度に設計変更することで、造形中も安定した積層が可能となり、サポートレスで一体造形を実現しました。

金属3Dプリンター製ネジ形状画像

本画像は、金属3Dプリンター(SLM方式)によって造形したオスネジ・メスネジのセットです。造形時に45度以上の角度を確保することで、サポート材を最小限に抑えつつ精密なねじ山の成形を実現しています。

株式会社アースでは、金属3Dプリンターのメリットを最大限に活かすため、用途や材料に応じた4台体制を整備し、安定した造形環境を構築しています。材料ごとに設備を分けて運用することで、異種金属のコンタミネーション(混入)リスクを抑制し、常に信頼性の高い品質を維持しています。

導入しているのは、最大280×280×350mmの造形サイズに対応可能な、ZRapid社製の高性能・高コストパフォーマンスな金属3Dプリンターです。これにより、マルエージング鋼、IN718、アルミ、ステンレスなど多様な材料への対応が可能で、試作から本製品まで柔軟にサポートいたします。

また、造形後の金属加工(二次加工)にも社内で対応しており、設計から仕上げまで一貫した対応体制を整えています。
コスト面でも、ZRapid社製の設備を活用した効率的な運用により、他社と比較して造形費用を抑えたご提案が可能です。

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